"風ノ旅ビト"の偉業。或いは今ゲームをやらない人にこそ知ってほしい作品。
(村上春樹風タイトルで。。。)
ゲームと聞かれて何を思い浮かべるんでしょう?
マリオ?ドラクエ?今ならパズドラ?
なんにせよ、コインを集めたり、何かを倒したり。
そんなイメージだろうと思うし、事実それが正しいと思う。
でも、今年一番と世界が認めた(安い表現だなぁ...)ゲームはまったく違うものでした。
2013年のGDC Game of the Year
GDCでは毎年その一年間に出たゲームのアワードがあります。カンファレンス会場。
そこで今年"風ノ旅ビト"という作品が6部門ノミネートで6部門受賞の快挙を達成しました。
最高賞に値するGame of The Yearも受賞し、今年は"風ノ旅ビト"一色の年といっても過言ではないです。。
風の旅ビトはプレイステーションのダウンロード専用タイトルで、お店では販売されない1000円程度の小さなゲーム。
それが数十億かけられた超ハイクオリティゲーム達を出しぬいての圧倒的快挙です。
どんなゲーム? 細かいことよりも、この動画を。ぜひ大きい画面で!! ちゃんと音を出して!!
Journey 『風ノ旅ビト』- Official Japanese Trailer (HD 720p ...
"さばくの中をふわふわと漂いながら旅をする"だけです。
ストーリーの説明もありません。キャラクタは言葉も発しません。
倒すべきボスもいなければ、コインもありません。
ただただ幻想的な世界を歩きまわります。
キャラクタのできることはふんわりと少しの間だけ浮かぶこと。あと歩ける。
普通にやっても3~4時間で終わります。
なんでこのゲームがゲーム・オブ・ザ・イヤーなんでしょう?
圧倒的なアート性と音楽はもちろんのことですが、自分がプレイして思うところは、多分”没入感の高さ”と”行間のバランス”なんだと思います。
没入感の高さ
例えば映像。すごく綺麗な風景の環境映像。それを2時間見続けさせられたら僕は飽きます。多分寝ます。
でもゲーム。このゲームは自分で主人公を操作し、その世界を歩き回って、砂漠を滑り落ち、空に浮かび、夕焼けに包まれて。。。
自分で操作することによって、”自分が旅してる”という感覚がとても強い。凄く引きこまれます。
しかも、リアルな現実世界ではなく本当の意味での幻想(ファンタジー)の世界を。
これはインタラクティブなメディアの強さで、映像や小説では実現できないことです。
僕はゲームデザイナーではないですし、なぜここまで強く引き込まれるのか紐解けてません。が、風の旅ビトの没入感の高さは圧倒的です。
行間のバランス
自由に旅をするわけではありません。風の旅ビトでは目的地があります。
でも、言葉もない、説明もない、なのにすんなりと行くべき場所にたどり着けます。
もちろん、プレイ中に矢印が出たりしません。
多分、無意識に人が意識できるようにいろんな仕掛けがあるんです。
わざとらしくなく、人を誘導する。
あ、これ詐欺と一緒だ。
物語もそうです。
一切の説明がありませんが、ときに嬉しく、ときに悲しくなります。
ユーザの感受性の自由度を持たせるために、ストーリーやアイコンなどを一切排除しているのに、
ちゃんと目的地にたどり着かせ、キャラクタに感情移入できるようになっている。
どんな魔法なんだ。。。
何が言いたいかというと、
風の旅ビトはゲームとしてどうかは置いておいて、
”インタラクティブ”なメディアの底力を見た感じです。
これをやるにはプレステ3(2万9千円!)が必要なので、もってない人には厳しいかもしれませんが、
こんなゲームがあるんだ。こんな世界があるんだと認識して頂けたら幸いです。
オンラインだと、たまに別のプレイヤーと知らない間に同期して、すれ違うという粋な演出も。
ちなみに、GDC会場では"風ノ旅ビト"の実写のパロディーが流れました。
街中でコスプレして、警察に尋問されてました。会場爆笑。
- アーティスト: Austin Wintory
- 出版社/メーカー: Sumthing Else Music Works
- 発売日: 2012/08/21
- メディア: CD
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